LoL Study

レーン主導権の作り方と使い方

テンポ

対面より先にレーンを離れられる、あるいは相手をタワーに釘付けにできる優位を「主導権」と呼ぶ。主導権をどう作り、何に変換し、いつ手放すかを理解すると、ファーム以外の行動でマップに影響を与えられるようになる

そもそも「先に動ける」とはどういうことか

レーン戦は、対面と自分が同じレーンに縛り付けられた状態から始まる。ミニオンを取り続けなければゴールドと経験値で遅れ、タワーを離れれば CS とプレッシャーを失う。つまり両者とも「レーンに居続けなければならない理由」を抱えている。

主導権(レーンプライオリティ)とは、この縛りを相手より先に解ける状態を指す。具体的には次の 2 つのどちらか、あるいは両方が成り立っている状態だ。

ここで重要なのは、主導権は「キルを取ったかどうか」とは別物だという点だ。一度もキルが発生していなくても、ウェーブの位置と圧力だけで主導権は生まれる。中級者が伸び悩む典型は、「有利=相手を倒すこと」だと思い込み、倒せないレーンを膠着と捉えて何もしないまま時間を溶かすことにある。倒せなくても、相手より先に動ける状態を作れれば、それ自体が立派な優位になる。

なぜ主導権が価値を生むのか

主導権の本質は「自分の行動の選択肢が相手より多い」ことにある。

レーンに居続けることしかできない相手に対して、自分は「レーンに残る」も「離れて別のことをする」も選べる。選択肢が多い側は、盤面のどこに人数差を作るかを自分の都合で決められる。LoL は局所的な人数差を作り合うゲームなので、「自分は動けて相手は動けない」瞬間は、そのまま「どこかで一時的に人数を増やせる」ことを意味する。

逆に主導権がない側は、相手が動いた事実に「後から反応する」しかなくなる。先に動いた側はマップ上の出来事を主導し、遅れた側は常に対応に追われる。この主導と対応の差が、時間の経過とともにゴールド差・視界差・オブジェクト差へと積み上がっていく。これが、キルが絡まなくても主導権が試合を動かす理由だ。

どう作るか — ウェーブで作る

主導権を生む最も基本的で再現性が高い方法は、ミニオンウェーブを相手タワー側へ押し込むことだ。

ミニオンウェーブは、プレイヤーの干渉がなければ大きくは前後せず拮抗するが、片方が数で上回ると、その差のぶん相手側へ前進していく。自分のウェーブを相手タワー下に送り込むと、対面はそれを処理しなければタワーやプレートを削られてしまう。処理に追われている間、対面はその場を離れられない。これが「相手を釘付けにする」状態であり、同時に「自分は先に動ける」状態でもある。

押し込み方には主に 2 通りある。

どちらを選ぶかは「主導権をいつ・何に使いたいか」から逆算する。今すぐ動きたいならファストプッシュ、数十秒後の特定イベントに合わせたいならスロウプッシュ、という対応関係を持っておくと判断が速くなる。ウェーブ操作そのものの詳細は別項に譲る。

どう作るか — トレードで作る

ウェーブと並ぶもう一つの作り方が、有利なトレード(殴り合い)の積み重ねだ。

トレードで相手の体力を継続的に削っていくと、相手はある時点で「このまま前に出ていると倒される」と感じ、タワー下へ引いて回復に専念せざるを得なくなる。あるいは早めにリコールして立て直す必要が出てくる。どちらの場合も、相手は前に出てプレッシャーをかける動きが取れなくなり、その間に自分が主導権を握る。

ここで効いてくるのがミニオンの攻撃対象の仕組みだ。ミニオンは「味方チャンピオンを攻撃している敵チャンピオン」を最優先で狙う。つまり相手チャンピオンに手を出すと、相手側のミニオン群が一斉に自分(攻撃した側)へ向いてくる。トレードの損得は、与えたダメージから「自分が浴びるミニオンダメージ」を差し引いて初めて確定する。ミニオンアグロを無視して殴りに行くと、見かけ上は勝っているのに体力収支では負けている、ということが起こる。

そのため有利なトレードとは、単に「相手より多く殴る」ことではなく、ミニオンアグロを引かずに、あるいは引いてもすぐ抜けられる位置・タイミングで殴ることを指す。相手のスキルが下がった直後、相手のミニオンが少ない瞬間など、自分が損をしにくい状況を選んで仕掛けるほど、トレードは主導権へと繋がりやすい。

主導権を持つと何ができるか

主導権は、それ自体では試合に影響しない。「何かに変換して初めて価値になる」リソースだと考えるとよい。代表的な変換先は次の通りだ。

ローム(別レーンへの援護)

主導権がある=対面が追ってこられないので、自分が一時的にレーンを離れても痛手が小さい。空いた時間を別レーンの援護に使えば、そこで一時的な人数差を作れる。対面が追ってきたとしても、相手は自分のウェーブを失いながら追う羽目になるため、追ってくること自体が相手の損になる。

安全なリコール

リコールは詠唱中その場に立ち止まり、ダメージを受けると中断される。だからこそ「相手が自分を攻撃しに来られない状況」で行うのが理想だ。主導権があると、対面はウェーブ処理やタワー防衛に手を取られていて妨害に来られないため、安全に帰還できる。さらにウェーブを相手タワーへ押し込んでからリコールすれば、帰っている間に取りこぼす CS も最小限で済む。「いつ帰るか」は主導権と強く結びついている。

視界とオブジェクトへの参加

主導権がある側は、対面を気にせず近くの川やオブジェクト周辺に視界(ワード)を置きに行ける。ドラゴンなどの中立オブジェクトが湧くタイミングで主導権を持っていれば、ウェーブを押し込んでからオブジェクトに人数を寄せられる。逆に主導権がない側は、レーンに縛られてオブジェクトに参加できず、人数不足のまま相手にオブジェクトを渡しやすい。「オブジェクトが湧く少し前に主導権を作っておく」という逆算は、レーン戦と試合全体を結びつける最も実用的な考え方の一つだ。

いつ手放すか — 主導権は万能ではない

主導権は常に持っているべきものではない。維持にはコストがかかり、状況によっては持たない方が得なこともある。

最も分かりやすいのが、味方ジャングラーのガンク(奇襲)リスクが高い場面だ。ウェーブを相手タワー側へ押し込むと、自分はマップの奥(相手寄り)に位置することになり、奇襲を受けたとき逃げ場が少ない。相手ジャングラーの位置が分からず危険なときは、あえて押し込まず、ウェーブを自分のタワー寄りに保って安全を優先する判断が要る。主導権より自分の生存が上位の目的になる場面だ。

また、押し込んでも変換先がないなら主導権の価値は薄い。ロームできる味方もいない、近くにオブジェクトもない、リコールする必要もない、という状況でただ押し続けると、押し返されてきたウェーブを取り損ねて逆に CS で負けることがある。「使い道がないなら無理に作らない」のも立派な判断だ。

いつ取り返すか

主導権を相手に握られたときの対処も、セットで覚えておきたい。

相手に押し込まれている=自分のタワー下にウェーブが溜まっている状態では、無理に前へ出ようとせず、まずタワーの援護を借りて安全に CS を回収するのが基本になる。タワー下で守りに徹していると、相手は「押し込んでいるのに自分を倒せない」状態になり、その主導権をローム等に変換しに動くことが多い。相手が動いた、あるいはウェーブが自分側に寄って処理しやすくなった瞬間が、主導権を取り返す入口になる。

取り返す際は、ウェーブが自分側に寄っているタイミングで一気に押し返し、立場を入れ替える。重要なのは、押し込まれている時間を「ただ耐える時間」ではなく「相手が次に何に主導権を使うかを観察する時間」と捉えることだ。相手の使い道を先読みできれば、相手が動いた隙にこちらが主導権を奪い返し、攻守を反転させられる。主導権はレーン戦の間ずっと一方が持ち続けるものではなく、ウェーブの揺れに合わせて何度も行き来する、動的なものだと理解しておくとよい。

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出典