エピックモンスターの取り合い
ヴォイドグラブ・リフトヘラルド・バロンナッシャーは時間とともに同じピットで入れ替わる「攻めの資源」。それぞれの効果の方向性と、取りにいくための前提条件(視界・人数・ウェーブ)を理解すると、無理な強奪を避けつつ建物破壊やゲーム終盤の主導権につなげられる
同じピットで入れ替わる3つの資源
サモナーズリフトのマップ上側にある「バロンピット」には、ゲームの進行に合わせて 3 種類のエピックモンスターが順番に出現する。序盤は ヴォイドグラブ(Voidgrubs)、中盤に入ると リフトヘラルド(Rift Herald)、そして終盤に バロンナッシャー(Baron Nashor) へと切り替わっていく。
重要なのは、これらが「ドラゴンとは別系統の、建物(タワー・インヒビター)に圧力をかけるための資源」だという点である。ドラゴンが主にチームのステータスや永続的な強化を積み上げる資源であるのに対し、こちら側のピットは「相手の陣地をどれだけ早く・深く崩せるか」に直結する。つまり同じマップでも、上側のピットは「攻めの時間割」を刻んでいると捉えるとよい。
3 つが同じ場所で入れ替わるということは、「ひとつ前の資源を取り切る・あきらめる判断」が「次の資源の準備」に直結することを意味する。たとえばヘラルドの時間に有利を取れていれば、その勢いでバロンの時間に向けた視界とウェーブを整えやすい。逆に序盤のグラブで損をすると、その後の資源争いでも後手に回りやすくなる。1 つ 1 つの取り合いは独立しておらず、時間軸でつながっている。
ヴォイドグラブの考え方
ヴォイドグラブはゲーム序盤に、バロンピットに複数体まとめて出現する。現行の仕様ではこの出現は 1 試合に一度きりで、取り逃しても後から湧き直すことはない(以前は時間を置いて再び湧いたが、現在は一度きりに変わっている)。倒すとチーム全体に「敵の建物を継続的に削る」効果が乗り、一定数を確保するとさらにミニオン状の助っ人が加わってタワー攻略を手伝うようになる。
ここで中級者が押さえたいのは、グラブの価値は「即座のゴールド」よりも「その後のタワー破壊の加速」にあるという点である。グラブを確保したチームは、序盤〜中盤にレーンのタワーを通常より速く割れるようになる。タワーを 1 つ早く落とせれば、その分マップが開けて視界を取りやすくなり、ジャングルへの侵入や次の資源(ヘラルド)への布石にもなる。だから「グラブを取ること」自体がゴールではなく、「取った効果でどのタワーを狙うか」までセットで考える必要がある。
一方で、グラブは複数体いるため討伐に時間がかかり、その間ジャングラーや寄ってきた味方はピット付近に張り付くことになる。序盤は全員のレベルもアイテムも薄く、ここで相手に奇襲されると複数人が一気に倒れかねない。「グラブを全部取り切る」ことに固執して不利な戦闘を受けるくらいなら、何体か譲ってでも安全に切り上げる判断がしばしば正解になる。グラブの効果はあくまで「攻めの加速装置」であり、それを得るために自分たちのテンポを失っては本末転倒だからである。
リフトヘラルドの狙い方と使い方
グラブの時間が終わると、同じピットにリフトヘラルドが出現する。ヘラルドは 1 回しか出現せず、放置すると一定時間で姿を消す。倒すと「ヘラルドの目(Eye of the Herald)」が手に入り、これを使うとヘラルドを味方ユニットとして好きな場所に召喚できる。
召喚されたヘラルドの役割は明確で、ミニオン・タワー・インヒビターといった「ライン上の障害物」を破壊することに特化している。チャンピオンはヘラルドに乗って突進の方向を操ることもでき、突進はタワーに大きなダメージを与える。つまりヘラルドは「タワー 1 枚を強引にこじ開けるための使い捨ての攻城兵器」だと考えるとよい。
狙い方のポイントは 2 つある。1 つ目は 「倒すこと」と「使うこと」を分けて考えること。ヘラルドを倒しても、召喚する場所とタイミングが悪ければ価値は半減する。理想は「相手が対応に来られないレーンのタワー」に向けて放ち、確実にプレートやタワーを割り切ることである。2 つ目は 召喚のタイミングをウェーブと合わせること。自分のミニオンウェーブが相手タワーに到達している瞬間に合わせて召喚すると、ヘラルドとミニオンが同時にタワーを叩き、破壊までの時間が大きく縮む。逆にウェーブが薄い場所に放っても、ヘラルドが孤立して早く倒されてしまう。
「いつ倒すか」については、相手ジャングラーや相手チームの居場所が見えていて、横取りや戦闘を仕掛けられる心配が少ないタイミングを選ぶ。ヘラルドはピット内では無視できない強さを持つため、視界も人数も整わないまま削り始めると、相手に最後の一撃をかすめ取られる(スティール)リスクがある。
バロンの狙い方・タイミング判断・バフの活かし方
ヘラルドの時間が終わると、同じピットにバロンナッシャーが出現する。バロンを倒すと、その瞬間に生存していた味方全員に強力なバフが付く。このバフの効果は大きく 3 方向ある。戦闘ステータスの上昇、リコール(帰還)の強化、そして 周囲の味方ミニオンを大幅に強化する効果である。
中級者が誤解しやすいのは「バロンバフ=チャンピオンが強くなるだけ」という理解である。実際にはバロンの真価は ミニオン強化 にある。バフを持った味方の近くにいるミニオンは格段に打たれ強く・攻撃的になり、相手タワーやインヒビターをこれまでより速く押し込めるようになる。つまりバロンは「集団戦に勝つための強化」であると同時に、「勝った後にマップを一気に攻め落とすための強化」でもある。だからバロンを取った後の正しい動きは、闇雲に敵を追い回すことではなく、強化されたミニオンを連れて建物を割りにいくことである。バフには時間制限があるため、「取った直後に何を割るか」を取る前から決めておくのが理想だ。
タイミング判断の軸は「バロンを倒している最中に集団戦を受けても勝てる状態か」である。バロン討伐には時間がかかり、その間チームはピットに固まる。ここで相手が全員生存してこちらに突っ込んでこられる状況だと、討伐中に背後から崩されて全滅し、バロンまで奪われる最悪の展開になりうる。だから多くの場合、バロンは「まず集団戦やピックで相手を 1〜2 人退場させ、数的有利を作ってから」始めるのが安全である。相手が 1 人でも欠けていれば、こちらは討伐とピットの守りに人数を割きやすくなる。
現行のバロンは複数の形態のいずれかとして出現し、一部の形態ではピットの地形そのものが変化する(壁が増える、横穴ができる、など。地形が変わらない形態もある)。これは「どのルートから入って、どこを守ればスティールされにくいか」が試合ごとに変わることを意味する。事前にピットの形を確認し、相手が忍び込める経路を視界で潰してから討伐を始める癖をつけたい。
取りにいく前提条件 — 視界・人数・ウェーブ
3 つの資源すべてに共通する「取りにいく前の準備」は、突き詰めると次の 3 点に集約される。
視界: ピット周辺の視界を先に確保することが最優先である。コントロールワードで相手の設置した視界を消し、ピットへの侵入経路にワードを置く。視界がないままモンスターを削り始めると、相手がどこから来るか分からず、スティールも奇襲も防げない。「モンスターを削る前に、まず相手から自分たちが見えなくする・相手の動きを見えるようにする」のが鉄則である。
人数(テンポ): そのモンスターを「安全に削り切れるだけの人数」と「相手が邪魔しに来られない状況」がそろっているかを見る。理想は相手が数的不利、あるいはマップ上で遠い位置に拘束されている瞬間である。相手全員の居場所が見えていない状態でピットに固まるのは、最も奇襲を受けやすい危険な形だと意識する。
ウェーブ: 各レーンのミニオンウェーブをどこに置いてから集まるかが、資源争いの安全性を大きく左右する。理想は、集まる直前に各レーンのウェーブを相手タワー側へ押し込んでおくこと(プッシュ)である。こうすると相手は「ウェーブの処理に戻る」か「資源を守りに来る」かの二択を迫られ、こちらは時間を稼げる。逆にウェーブが自分側に来ている状態で全員がピットに集まると、相手は安心して全員で妨害に来られる。ウェーブ管理は、エピックモンスターを取りにいくための「下ごしらえ」そのものである。
この 3 点が整っていないなら、たとえモンスターが出現していても「今は取らない」という判断が正解になることが多い。資源は逃げないが、不利な状況で削り始めて奪われたり全滅したりすると、その損失は資源 1 つ分では済まない。**「取れるかどうか」ではなく「安全に取れる状況を自分たちで作れているか」**を先に問うのが、エピックモンスターを巡る判断の核心である。